キビるコラム!第一弾「演劇モンスター」

キビるコラム!第一弾は、福岡の劇団「非・売れ線系ビーナス」の主宰・劇作家の田坂哲郎さんに、熊本の「劇団きらら」について書いていただきました。


池田さんとの最初の出会いは多分E-1グランプリなんですよね。もうすげー前ですよ。2003年?

当時俺と木村、現ガラパの川口大樹と椎木樹人と、そうあ……今は東京で、テレビの特殊効果の絵コンテを描く人をたしかやってるんですけど、今でもたまにYouTubeとかにコスプレして出てるという伊藤そうあっていう男がいて、その5人で「劇団どデブ」というユニットを作ってE-1に出たんですよ。

当時のE-1のシステムは、予選はやるけど、でもその予選で誰かが落ちるわけじゃない(本選の上演順が決まる)っていう感じで……若かったのもあって、予選の作品は、前日に半分即興で作ったみたいな作品を持って行ったんです。(伊藤)そうあが当時いじられキャラっていうのもあって、彼の車をみんなで壊すみたいな作品をやりました。人数に対して狭いから屋根を外すかー、みたいなんだったと思うんですけど。その作品をやったときに一緒にE-1に参加していた池田さんが「すごい自由でいいね」ってウケてくれて。インプロって言葉も今ほど一般的じゃなかった時代に、ほぼ即興でやって、しかもそれをさも「作品でございます」っていう風に見せたのを面白がってくれたんじゃないかと思います。審査員の方にはもうちょっとちゃんとしたいのが見たいって言われたけど(笑)

そこから交流がスタートして……稽古場見させてもらったり、小学校や八代の演劇WSに呼んでもらったり。最近だと、小学校の観劇会の作品を池田さんと非売れメンバーで一緒に創作させてもらったりしました。

劇団きららの作品は、とても見やすくて、でも同時にとても演劇的というか。見えないものをあるように見せる、言ってないセリフを届ける、こういう演劇らしいことをわかりにくくなくサラッとやってしまう。描いているのは個人のお話なんだけど、そのやりとりから社会が浮かび上がってくる、っていうのを「だって個人を描けば社会だって見えてくるでしょ?」って顔でやるんですよ(笑) 個人を描きつつその奥に潜む社会の暗部を、って計算された感じじゃなくて、「だって人と人がいたらそこに社会ってできるじゃない?」って感じでナチュラルに作ってるのがすごい。

昔はもっとファンタジーだったんですよね。「ほね屋」とか「おくびょうな王子さま」とか。それが段々、現代の人を描くようになっていったんじゃないか……。「ゲシュタルト」がすごい面白かったんですよね。その辺から、演劇における遊びをふんだんに使った作風から、今の、ある種ストイックな、そぎ落とされていった感じの作風になってきたなぁと思います。

思うのは、いまだに変わり続けているっていうのがすごいなって。「ぼくの、おばさん」だったと思うんだけど、ある程度年のいった姉妹が喧嘩するっていうシーンで、突然扇を持って姉妹で踊り出すっていう演出があって衝撃を受けたんです。ここにきてそんな攻めたことするんやと。下手したら笑っちゃいますもん。ほんとにシリアスな、橋田壽賀子が書くようなシーンで、急に扇持っていわゆる日本舞踊を踊りだすんですよ。それがめちゃくちゃ感動して。作り手として衝撃を受けたというか。30年以上やってて作品が落ち着いてきても構わないのに、躊躇なく変わっていく……「演劇モンスター」やなって(笑) 池田美樹、演劇モンスターやったんやなって、その時思いました。

あと俺泣いちゃうんですよね。きららは。今一番泣いちゃうんじゃないかな。

僕は物語の構造にものすごくこだわるタイプで、主人公がこうなってこうなるみたいな順序をしっかり立ててお客さんに提供してるつもりなんだけど、池田さんの本は、その順序をすっ飛ばして見せてくる「強さ」みたいなものがある。方程式を飛び越えた面白さを持っている。なんでこのエピソードが入ってるかわかんない、どこに影響してるかわかんない、でもトータル的にすごいよかった、みたいな。そういう意味じゃうまく評論できないんだけど、理屈じゃない面白さというのを感じてもらえるんじゃないかと思います。

あととにかくべらぼうにうまい役者さんがいっぱい出るので、一度も見たことない人は是非見てほしいです。


キビルフェス2019参加作品

劇団きらら「気持ちいい穴の話」

ご予約絶賛受付中!下記URLより!

★田坂哲郎 出演情報★

・1/12-13 えりこプロデュース「おっさんとラブ」(熊本・リトルスターホール)出演

 詳細(Twitter)はこちら

・1/20 オペラ「天国と地獄」(イイヅカコスモスコモン 中ホール)出演

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・1/29~31  非・売れ線系ビーナス「ハイザンヘイvol.1」(冷泉荘) 脚本/出演

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田坂さんコメント:

「おっさんとラブ」は女の子がおっさんと恋する話のオムニバスなんですが、おっさんでオファーを受ける年齢になったんだなと……複雑な心境だ(笑)
「天国と地獄」は飛ぶ劇場・泊さんが作演出です。オペラの人と演劇の人が4人、4人で、歌あり踊りありでわかりやすく面白いです。結構オススメです。
「ハイザンヘイvol.1」では、池田さんも審査員をされていた「激トツ!×20分」の短編作品を連続で上演します。池田さんに褒められた気がする「トップオブザ・ワールド」も上演しますので、こちらも是非観に来てください。


第2弾は宮崎・劇団こふく劇場について、劇団go to主宰の後藤香さんに書いていただきます!お楽しみに!

KIBIRU STAGE ART FESTIVAL